弓道を始めたいと思ったとき、まず気になるのが「弓道の初期費用」です。特に高校や大学の弓道部に入部を検討している学生や、社会人として新たな趣味に挑戦したい方にとっては、どのくらいの費用が必要なのか、具体的な金額を知っておきたいところでしょう。
この記事では、弓道に必要な道具一式の値段や、弓はいくらかかるのかといった基本的な費用情報から、安い弓の選び方、中学生や部活動で使用される弓の価格帯(部での弓の値段)、社会人が始める場合の特徴や予算の考え方まで、幅広く解説します。
また、「弓道部はやめとけ」といったネガティブな意見の理由とその対策、弓道に向いてる人の特徴など、始める前に知っておくべきポイントも紹介しています。これから弓道を始めようとするすべての方に、安心して一歩を踏み出してもらえるような内容をお届けします。
- 弓道を始める際に必要な道具一式の内容と値段
- 高校・大学・社会人で異なる初期費用の目安
- 弓の素材ごとの価格差と初心者向けの選び方
- 初期費用を抑えるためのレンタル活用や購入タイミング
弓道の初期費用の目安と必要な道具の選び方
弓道の道具一式の値段と必要な購入アイテム

弓道を始める際に必要な道具一式は、基本的なセットで約4万円〜6万円が相場です。これは、初心者が最低限そろえるべきアイテムを中心に構成されています。
まず、初心者が最初に揃える代表的な道具は以下の通りです。
【弓道の基本装備とその価格目安】
アイテム名 | 役割 | 価格目安(円) |
---|---|---|
弓道着(上衣・袴) | 練習・試合での服装 | 10,000~15,000 |
弓懸(ゆがけ) | 弦から指を保護する手袋 | 15,000~25,000 |
矢(6本セット) | 的を射るための道具 | 15,000~30,000 |
矢筒 | 矢を持ち運ぶケース | 3,000~8,000 |
足袋・胸当て(女子) | 足元の保護・胸部の保護 | 2,000~3,000 |
弦・弦巻・下がけ | 消耗品と補助具 | 1,000~2,000 |
このように、弓以外の道具でも一式揃えるにはまとまった費用がかかります。ただ、これらの道具は頻繁に買い換える必要がなく、丁寧に使えば数年間は持ちます。
一方で、これらの道具はセット販売されている場合もあり、個別に購入するよりも価格が抑えられることがあります。特に初心者向けのスターターセットはコスト面でメリットが大きいため、最初の導入には適しています。
ただし、セット品にはサイズや品質が合わない場合もあるため、購入前には実際に試着したり、専門店で相談することをおすすめします。特に「弓懸」は手の形に合うかどうかが重要なため、可能であれば現地でのフィッティングが望ましいでしょう。
最初は必要最小限の道具だけを購入し、弓道が続けられると判断してから徐々にグレードアップするという方法も現実的です。
弓はいくら?安い?中学生向け相場も比較

弓の価格は素材と用途によって大きく異なります。安価なものから高級品まで幅広く、初心者が選ぶべき弓の価格帯には目安があります。
一般的な価格相場を以下にまとめました。
【弓の素材別価格相場】
素材 | 特徴 | 価格帯(円) | 初心者適正 |
---|---|---|---|
グラスファイバー | 耐久性が高く、価格も手頃 | 25,000〜40,000 | ◎ |
カーボンファイバー | 軽くて反発力があるが高価 | 40,000〜60,000 | ○ |
竹(竹弓) | 伝統的で高品質、管理が難しい | 100,000〜200,000以上 | △ |
中学生の弓道部では、多くの場合、学校の弓を借りて使います。このため、初期費用として弓を購入する必要はほとんどありません。ただし、一定期間練習した後、本人の成長や意欲に応じて自分用の弓を購入するケースがあります。
中学生が個人で弓を購入する場合、主にグラスファイバー製が選ばれます。これは、価格が比較的安く、耐久性もあり、扱いやすいためです。予算は2万5千円〜3万円程度を見ておくと良いでしょう。
一方で、竹弓は高額でメンテナンスの難易度も高いため、初心者や中高生には基本的に推奨されません。上級者や大人で、弓道を長く続ける意志のある人向けの選択肢となります。
また、弓には身長に応じた長さ(並寸、二寸伸など)や、引く力(弓力)があります。購入時には、専門の弓具店で体格に合ったものを選定してもらうことが重要です。
価格だけで選ばず、自分のレベルや目的に合った弓を選ぶことが、上達の近道となります。
高校・大学の弓道部の場合

高校や大学の弓道部に所属する場合、初期費用はおおよそ4万円〜8万円ほどが目安になります。これは弓道部の設備や備品の充実度によって前後します。
多くの学校では、弓や矢といった高額な道具は部活備品として貸し出されるため、個人での購入は原則不要です。そのため、最初に必要となるのは以下のような個人用の基本装備です。
【高校・大学での弓道初期費用(目安)】
購入品 | 費用の目安(円) | 備考 |
---|---|---|
弓道着(上衣・袴) | 10,000〜15,000 | 洗い替えがあると便利 |
弓懸(かけ) | 15,000〜25,000 | 個人の手に合わせて選ぶ |
矢(6本セット) | 15,000〜30,000 | 初心者はジュラルミン製が多い |
その他(足袋・帯・胸当て) | 2,000〜5,000 | 足袋は消耗品として複数必要 |
このほかに、部活動によってはジャージやチームTシャツなどの購入が必要になる場合もあります。弓の購入は、入部から半年〜1年後に希望者が行うことが多く、その場合はさらに2万円〜4万円程度の費用が追加で発生します。
ただし、大学になると部費や合宿・遠征費が発生する場合があり、年間で1万〜3万円ほどの支出が想定されます。これには昇段審査や登録料なども含まれることがあるため、入部時に詳細を確認しておくことが大切です。
なお、初期費用を抑えたい場合は先輩からの譲渡や、中古品の活用も有効です。校内で道具のリユースが行われていることもあるため、顧問や上級生に相談してみるのがよいでしょう。
社会人が弓道を始める場合と特徴
社会人が弓道を始める場合、初期費用は約6万円〜10万円程度を見込んでおく必要があります。これは学校のように備品の貸し出しがないケースが多いため、道具を自分で揃える必要があるためです。
社会人が揃えるべき基本的な道具は以下の通りです。
【社会人向け 弓道スタートセット(目安)】
道具名 | 価格の目安(円) | 特徴 |
---|---|---|
弓 | 25,000〜60,000 | 初心者はグラスファイバー製が主流 |
矢(6本) | 15,000〜30,000 | カーボン矢はやや高価だが耐久性あり |
弓懸(かけ) | 15,000〜25,000 | 鹿革製でサイズに注意 |
弓道着一式 | 10,000〜15,000 | 上衣・袴・帯・足袋など |
矢筒・弦・巻き藁矢など | 5,000〜8,000 | 補助道具・消耗品も必要 |
弓の種類は選択肢が広く、初心者には安価なグラスファイバー製が適していますが、こだわる場合は竹弓などを選ぶこともできます。ただし、竹弓は手入れが難しく、価格も高額(10万円以上)になるため、最初から選ぶにはハードルが高めです。
また、道場使用料や弓道教室の月謝も別途かかります。地域によりますが、教室の月謝は月5,000円〜10,000円前後、道場の使用料は1回300円〜500円ほどが一般的です。
社会人は時間と資金に余裕があれば、個人のペースで始められるのが強みです。一方で、道具選びや練習環境の確保は自力で行う必要があり、情報収集と計画が重要になります。
最初は体験教室や入門コースでレンタル道具を活用し、継続できると判断してから自分用の道具を購入するのが賢明な選択です。
弓道の初期費用を抑えるコツと続けやすい始め方
弓道具はレンタルと購入どちらが得?初心者向け比較

初心者が弓道を始める際、道具を「購入するか」「レンタルするか」は迷いやすいポイントです。どちらが良いかは、目的や期間によって変わります。
まず、短期間の体験や継続できるか不安な場合は、レンタルの方が負担が少なくおすすめです。道場や弓道教室では、初心者向けに道具一式を貸し出していることが多く、費用は1回あたり数百円から、月単位の利用でも5,000円前後が一般的です。
一方で、長く続ける意志があり、マイペースで練習したい人は購入を検討してもよいでしょう。初期費用は約6万円〜10万円程度かかりますが、一度そろえてしまえば長期的には割安になるケースもあります。
比較表にまとめると以下のようになります。
【レンタルと購入の比較】
項目 | レンタル | 購入 |
---|---|---|
初期費用 | 安い(0~5,000円/月) | 高い(6~10万円) |
継続性 | 短期向け | 長期向け |
道具の品質 | 共用・状態に差がある | 自分に合ったものを選べる |
メンテナンス | 基本不要 | 自分で管理が必要 |
所有感 | なし | あり(モチベーションに直結) |
ただし、レンタルではサイズや品質が合わない場合もあります。特に弓懸(かけ)は自分の手に合うものを使うことが重要なため、可能であればこのアイテムだけは購入するという選択肢もあります。
弓道を今後も続けるかを見極めるためには、まず数ヶ月はレンタルで体験し、その後に必要なものから段階的に揃える方法が、費用と満足度の両面でバランスがとれています。
部で使う弓の値段と自分の弓を持つタイミング

学校の弓道部では、多くの場合「部弓」と呼ばれる共有の弓が用意されています。これは中学・高校・大学いずれの部活動でも共通で、初心者は入部後しばらくはこの弓を使って練習するのが一般的です。
部弓の価格はグラスファイバー製が主流で、1本あたり2万5千円〜4万円程度です。これらは部費や学校予算で購入されており、使用者の体格や習熟度に応じて貸し出されます。
ただ、すべての部員に常に合った弓が用意されているわけではないため、次第に「自分専用の弓が欲しい」と感じることがあります。そうした場合、以下のような条件がそろったタイミングで自弓の購入を考えるのが自然です。
【自分の弓を持つおすすめのタイミング】
- 弓力(引く力)の安定と向上が見られるようになった
- 試合や審査に積極的に参加するようになった
- 夏合宿などで集中的に練習する機会が増えた
- 指導者から購入を勧められた
このとき選ばれる弓は、最初はグラスファイバー製が一般的です。価格帯は2万5千円〜4万円前後で、長さや弓力は個人の体格に合わせて選定します。素材やブランドによっては5万円以上するものもありますが、初心者が無理をして高価な弓を選ぶ必要はありません。
ただし、部活動の方針によっては「自弓の持ち込みは禁止」「部弓で統一」としているところもあります。購入前には顧問や指導者への確認が必要です。
無理に早く購入する必要はなく、まずは部弓で基礎を固め、必要性とタイミングを見極めてからマイ弓を手に入れるのが現実的なステップです。
弓道に向いてる人の特徴と継続のコツ

弓道に向いている人には、共通する特徴があります。それは、精神的な落ち着きや繊細な動作への適応力です。弓道は体力よりも「集中力」や「継続力」が求められる競技であり、じっくり物事に取り組める人が適しています。
次のような傾向がある人は、弓道に向いていると言えるでしょう。
【弓道に向いている人の特徴】
- 物事をコツコツと積み上げるのが得意
- 動作や姿勢に意識を向けられる
- 他人と比較せず、自分と向き合える
- 落ち着いた性格で感情をコントロールできる
- ストレス耐性があり、失敗を次に活かせる
一方で、弓道はすぐに上達が見えるわけではありません。最初の数ヶ月は的に矢が当たらないことも珍しくなく、それでも継続できるかどうかが分かれ道となります。
ここでは、弓道を継続するためのコツも紹介します。
【弓道を続けやすくする工夫】
- 明確な目標を持つ(昇段、試合出場など)
- 日記や記録をつけて自己評価する
- 仲間と励まし合える環境を作る
- 上達だけでなく「心の安定」も成果として認識する
- 費用や時間の負担を現実的に計画する
このように、精神的な面を重視する人ほど、弓道を長く楽しめる傾向があります。技術だけでなく、自分の成長を実感したい人にとっては、弓道は非常に充実感のある趣味となります。
弓道部はやめとけ?と感じる理由と対策
インターネット上では「弓道部はやめとけ」といった意見を見ることがあります。この言葉に不安を感じる人も多いかもしれません。ただし、実際には多くの人が弓道部で有意義な時間を過ごしており、否定的な意見の背景にはいくつかの具体的な理由があります。
よくある理由と、それに対する対策を以下に整理しました。
【「やめとけ」と言われる主な理由と対策】
理由 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
上達が遅く結果が見えにくい | 初心者は的に当たらない期間が長い | 練習記録をつけて成長を「見える化」する |
費用がかかる | 道具代や大会参加費などが発生する | 中古品の活用や、必要な道具を絞る |
人間関係の悩み | 上下関係や指導法に不満が出ることも | 顧問や外部指導者に早めに相談する |
体育会系の文化が合わない | 厳しい指導や慣習に戸惑う場合がある | 入部前に方針や雰囲気を確認しておく |
これらは弓道に限った話ではなく、どの部活動にも共通する問題でもあります。逆に、これらの問題にあらかじめ備えておくことで、より快適に部活動を続けることができます。
また、部活動だけが弓道の選択肢ではありません。地域の道場や社会人教室でも学べるため、無理をして所属し続ける必要はありません。
弓道部が合わないと感じたら、自分に合った場所で弓道を続ける選択肢を探すことが、結果的に長く楽しむコツになります。
弓道の初期費用の全体像と道具選びのポイントまとめ
ここまでの内容をまとめると以下となります。
- 弓道の初期費用はおおよそ4万円〜10万円程度
- 最低限必要な道具は弓道着、弓懸、矢、矢筒など
- 弓懸は手に合うかどうかが重要なため現物確認が望ましい
- 初心者セットは価格を抑える手段として有効
- 弓の素材によって価格帯が大きく異なる
- グラスファイバー製の弓はコストと耐久性のバランスが良い
- 中学生は学校の弓を借りられることが多く購入不要
- 高校・大学では備品貸与があり、個人装備のみが基本負担
- 高校・大学での初期費用は4万〜8万円が一般的
- 社会人は全道具を自前で用意するため費用が高くなる
- 社会人の弓道開始には道場利用料や月謝も加わる
- レンタルと購入は継続期間に応じて使い分けが有効
- 弓は成長や習熟度に合わせて購入タイミングを考える
- 精神的な集中力や継続力がある人は弓道に向いている
- 続けやすくするには記録や目標設定が効果的
参考文献:弓道用品